遺品整理の見積りを初めて取るとき、「この金額は本当に適正なのだろうか」と不安を感じる方は少なくありません。

特に遠方の一軒家を片付ける場合、数十万円という費用を提示されて戸惑うこともあるでしょう。
しかし、相場や内訳の仕組みを知っておけば、悪徳業者による高額請求を防ぎ、納得のいく業者選びができます。



この記事では、費用の目安から信頼できる業者の見分け方、そして見積り金額を抑える具体的なコツまで、後悔しない実家の片付けを実現するために必要な情報をお伝えします。
一軒家の遺品整理の費用相場と内訳


実家の片付けを業者に頼もうとしたとき、数十万円という見積もりを見て驚いてしまう方は少なくありません。
しかし、この金額は適当に決められているのではなく、家の広さや荷物の量に応じた明確な根拠があります。
ここでは、4LDK以上の大きな一軒家を中心に、なぜその金額になるのかという仕組みを解説します。



相場を知ることは、悪徳業者による高額請求を防ぐための最初の一歩です。
内訳(1)3LDK~5LDK以上の費用目安
一軒家の遺品整理にかかる費用は、部屋の数と荷物の量によって大きく変動します。
以下の表は、一般的な間取りごとの相場と、作業に必要な人数の目安をまとめたものです。
3LDKの家であっても、荷物が天井まで積み上がっているような場合は、4LDK以上の料金帯になることも珍しくありません。
| 間取り | 料金相場(目安) | 作業人数 | 備考 |
| 3LDK~4DK | 17万円~50万円 | 4~6名 | 荷物量により2日かかる場合あり |
| 4LDK以上 | 22万円~70万円 | 5~10名 | 庭や倉庫を含むと100万円超も |
このように、4LDK以上の広い家では22万円から70万円、場合によっては100万円を超えるケースもあります。
金額にこれだけの幅があるのは、庭の植木や倉庫の整理が含まれるか、処分する荷物がどれだけあるかによって、作業の手間がまったく違うからです。
まずはこの相場感を基準にして、提示された金額が適正かどうかを判断しましょう。
内訳(2)人件費・車両費・処分費の構成
遺品整理の見積もり金額は、主に「人」「車」「ゴミ処理」の3つの実費を積み上げて計算されます。
業者が提示する金額の裏側には、以下のような具体的なコストが含まれています。
- 人件費:作業員1名あたり日当1万円〜3万円程度。熟練スタッフや人数が増えれば高くなります。
- 車両費:2トントラック1台あたり1万5千円〜3万円程度。燃料費や車両の維持費が含まれます。
- 処分費:自治体の処理場に支払う手数料。1立方メートルあたり1万円程度かかることもあります。
特に重要なのが処分費です。
家庭から出るゴミを正しく捨てるには必ずお金がかかります。
もし「全部で5万円」のように相場より極端に安い業者がいたら注意してください。
必要な処分費をごまかし、山林などに不法投棄をする悪徳業者であるリスクが高いからです。
内訳(3)荷物量(立米数)による計算方法
プロの業者は、部屋の広さ以上に「荷物の体積」を重視して見積もりを出します。
このとき使われるのが「立米(りゅうべ)」という単位です。



これは縦・横・高さがそれぞれ1メートルのサイコロ状の箱をイメージしてください。
この箱がいくつ分あるかで、必要なトラックの台数が決まります。
一般的な2トントラック1台には、およそ5立米から10立米程度の荷物を積むことができます。
一軒家の場合、押し入れの奥や屋根裏、庭の倉庫まで含めると、トラックが何台も必要になるケースがほとんどです。
物が多ければ多いほど、運ぶためのトラック代と処分費が増え、結果として総額が高くなるのはこのためです。
内訳(4)家電リサイクルや供養の追加費用
基本料金に含まれない「追加費用」が発生するケースも事前に知っておく必要があります。
特に、冷蔵庫、テレビ、洗濯機などの家電製品は、「家電リサイクル法」という法律で捨て方が決まっており、別途リサイクル料金を支払う義務があります。
また、仏壇や神棚、大切にしていた人形などを「そのままゴミとして捨てるのは忍びない」という場合は、お坊さんに供養してもらうオプション費用がかかります。
一方で、製造から5年以内の新しい家電や骨董品などは、業者が買い取ってくれることもあります。
その場合は作業費用から買取額を差し引いて安く済ませることができるので、見積もりの際に必ず相談してみましょう。
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遺品整理の見積もりを安く抑えるコツ


親の家を片付ける際、提示された金額が高いのか安いのか分からず悩む人は多いです。
実際に、知識がないまま1社だけに依頼してしまい、相場よりも高い金額を支払ってしまったという失敗談は後を絶ちません。
しかし、正しい手順を踏めば費用は適正な範囲に収められます。



ここでは、悪質な業者によるトラブルを避けながら、少しでも費用を抑えるための具体的な4つの実践テクニックをご紹介します。
コツ(1)3社以上で相見積もりを取る
遺品整理で失敗しないための鉄則は、最初から1社に絞らず、必ず3社程度から見積もりを取ることです。
これを「相見積もり(アイミツ)」と呼びますが、複数の業者を比べることで、適正な価格が見えてきます。
もし極端に安い業者がいれば、不法投棄などのリスクを疑うきっかけにもなります。
また、金額だけでなく、電話口での対応や訪問時のスタッフの態度も、安心して任せられるかを見極める重要な材料です。
以下の表に、業者を比較する際に必ずチェックすべきポイントをまとめました。
| 比較する項目 | チェックする内容 | なぜ重要なのか |
| 見積もり金額 | 総額だけでなく内訳が詳細か | 「一式」などの曖昧な表記は追加請求のリスクがあるため |
| スタッフの対応 | 電話対応の丁寧さや身だしなみ | 対応の良さは当日の作業品質に直結するため |
| 質問への回答 | 処分方法や追加料金の有無 | 都合の悪いことを隠す悪徳業者を見抜くため |
コツ(2)価値ある不用品を買取に出す
費用を安くする最も確実な方法は、不用品の中から価値のあるものを見つけ出し、買い取ってもらうことです。
調査データによると、製造から5年以内の新しい家電製品や、骨董品、貴金属、ブランド品などは値段がつく可能性があります。
これらを業者に買い取ってもらえれば、その分を作業費用から差し引くことができ、最終的な支払額を減らせます。
もし遺品整理業者の査定額に納得できない場合は、古美術商などの専門業者に別途査定を依頼するのも一つの賢い手段です。
コツ(3)自治体回収で事前にゴミを減らす
業者に依頼すると高くなる主な理由は、ゴミの処分費と人件費です。
そのため、自分たちで捨てられる燃えるゴミや資源ゴミを、事前に自治体の回収に出しておくだけで、見積もり金額を下げることができます。
実際に、書籍や衣類などを自分たちで処分し、家具などの重いものだけを業者に任せることで費用を抑えた例もあります。
ただし、慣れない片付け作業は肉体的・精神的な負担が大きいため、無理をして体調を崩さないよう、できる範囲で進めることが大切です。
コツ(4)繁忙期を避けて日程を調整する
引越しと同じように、遺品整理業界にも繁忙期があります。
もし実家を明け渡す期限に余裕があるのなら、作業日程を業者に合わせることで割引を受けられる可能性があります。
見積もりの際に「急ぎではないので、そちらの空いている日で構いません」と伝えてみてください。
業者にとっても、スケジュールの空きを埋められるメリットがあるため、通常よりも安い金額を提示してもらえるケースがあります。
日程の柔軟性を持つことが、賢いコストダウンの鍵となります。
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信頼できる業者を見抜くチェックリスト


遺品整理を安心して任せられる業者を見つけるためには、いくつかの重要なポイントを確認する必要があります。
実際に、知識がないまま安易に依頼してしまい、後から高額な請求や不法投棄などのトラブルに巻き込まれたという報告も後を絶ちません。
ここでは、悪徳業者を避け、優良な業者を選ぶために見積もりや契約の段階で必ずチェックすべき4つの基準を解説します。
チェック(1)必ず訪問見積もりを実施するか
遺品整理の見積もりにおいて、電話やメールだけで金額を確定させようとする業者は避けるべきです。
なぜなら、実際の荷物の量や、トラックを停める位置、階段の有無などを現地で見なければ、正確な費用は算出できないからです。
実際に、電話での概算見積もりを信じて依頼した結果、作業当日に「想定より荷物が多かった」と言われ、追加料金を請求されるトラブルが多発しています。
手間はかかりますが、必ず現地に来てもらい、書面での確定見積もりをもらう手順を踏むことが、自分自身を守るための必須条件です。
チェック(2)見積書の内訳・明細は明確か
提示された見積書が、「遺品整理一式 25万円」といった大雑把な記載になっていないかを確認してください。
信頼できる業者の見積書には、作業スタッフの人数や使用するトラックの台数、処分費用の内訳などが具体的に書かれています。
以下の表は、安心して依頼できる見積書と、トラブルになりやすい危険な見積書の特徴を比較したものです。
内容が曖昧なまま契約してしまうと、後から「その作業は含まれていない」と言われ、別料金を請求されるリスクが高まります。
| 確認項目 | 良い見積書の記載例 | 危険な見積書の記載例 |
| 作業人数 | 「作業員3名」と人数が明記 | 記載がない、または不明瞭 |
| 車両費 | 「2tトラック2台」と具体的 | 車両についての記載がない |
| 作業内容 | 処分費やリサイクル料が別記 | 「作業一式」のみで詳細不明 |
チェック(3)「追加料金なし」の書面記載はあるか
契約を結ぶ前に、「作業当日の追加料金は一切発生しない」という約束を書面で取り交わすことが重要です。
国民生活センターの事例によると、悪質な業者は作業を始めてから「想定外のゴミがあった」と難癖をつけたり、荷物をトラックに積んで断れない状況にしてから高額な追加請求を行ったりします。
こうしたトラブルを防ぐために、見積書の備考欄などに「追加請求なし」と明記されているか必ず確認しましょう。
口約束だけでは証拠にならないため、必ず形に残してもらうことが最大の防御策となります。
チェック(4)遺品整理士等の資格を保有しているか
業者が適切な許可や資格を持っているかも重要な判断材料です。
特に、家庭から出る不用品を運ぶには、自治体の「一般廃棄物収集運搬業許可」が必要です。
よくある間違いとして、工場などのゴミを扱う「産業廃棄物収集運搬業許可」や、物を買い取るための「古物商許可」だけでは、家庭のゴミを有料で回収することはできません。
もし業者が許可を持っていない場合は、許可を持つ正規の業者と提携しているかを確認してください。
違法な業者に関わると、不法投棄などの犯罪に巻き込まれる恐れがあるため注意が必要です。
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注意すべき悪徳業者の見積もり手口


遺品整理業界には、残念ながら遺族の弱みにつけ込む悪質な業者が存在します。
実際に、当初の見積もりとは違う高額な追加請求をされたり、大切な遺品を山林などに捨てられたりして、精神的に追い詰められてしまうケースは少なくありません。
ここでは、自分自身と家族を守るために知っておくべき、悪徳業者の代表的な4つの手口と対策を解説します。
まずは以下の表で、危険な業者の特徴的なサインを確認してください。
| 悪徳業者のよくある言葉 | 裏に隠された危険な意図 | 取るべき対策 |
| 「作業一式で○○円です」 | 作業範囲を曖昧にし、後から追加料金を請求する | 内訳の記載がない見積書は受け取らない |
| 「今契約すれば半額にします」 | 他社と比較させず、冷静な判断をさせない | 「家族と相談します」と言って即決しない |
| 「無料で回収します」 | 必要な処分費をごまかし、不法投棄を行う | 安すぎる理由や処分方法を詳しく聞く |
手口(1)「一式」等のどんぶり勘定見積もり
最も警戒すべきなのは、「遺品整理作業一式 25万円」としか書かれていない、大雑把な見積書です。
これは「どんぶり勘定」と呼ばれ、作業の範囲をあえて曖昧にする手口です。
契約後に「その家具の処分は含まれていないので別料金です」と言いがかりをつけられ、最終的に高額な費用を請求されるトラブルの温床となります。
もし「一式」の内容について質問しても、「全部任せてください」などとはぐらかす業者は、後でトラブルになる可能性が高いため避けるべきです。
手口(2)「今なら半額」と契約を急かす
訪問見積もりのその場で、「今すぐ契約してくれれば半額にします」と強引に迫ってくる業者には注意が必要です。
これは、親族を亡くして判断力が低下しているタイミングを狙い、他社と比較検討させる隙を与えないための典型的なセールステクニックです。
優良な業者は、決して契約を急かすようなことはしません。もし「今日中に決めないと高くなる」などと脅しのような言葉を使われたら、その場での契約は断固として拒否することが、身を守るための最善の策です。
手口(3)作業完了後に高額な追加請求を行う
国民生活センターのデータによると、作業が終わった後や、トラックに荷物を積み込んで断れない状況を作ってから、高額な料金を請求する手口が頻発しています。
これは心理学で「ドア・イン・ザ・フェイス」と呼ばれる、一度小さな要求(見積もりの依頼)を受け入れさせてから、本命の大きな要求(高額請求)を突きつけるテクニックが悪用されたものです。
恐怖心から支払ってしまう被害者もいますが、事前の説明にない不当な請求には応じる必要はありません。
おかしいと感じたら警察や消費生活センターへ相談しましょう。
手口(4)無許可業者による不法投棄のリスク
「4LDKの片付けで5万円」など、相場よりも極端に安い金額を提示する業者は、回収した遺品を適切に処理せず、山林などに不法投棄しているリスクがあります。
実際に、警察から「あなたの実家の荷物が捨てられている」と連絡が入り、依頼した側が責任を問われるケースも報告されています。
家庭ごみの処分には必ずコストがかかります。
「無料で回収します」といった甘い言葉に惑わされず、その業者が法的に正しい処分方法をとっているかを確認することが重要です。
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遠方対応や立ち会い不要の依頼方法


実家が遠方にあるため、週末のたびに新幹線や飛行機で通うのは、肉体的にも金銭的にも大きな負担です。
実際に、仕事や子育てに追われる中で、「片付けたいけれど物理的に通えない」と悩む方は非常に多いです。
しかし、現在は依頼者が現地に行かなくても、見積もりから作業完了までを完結できるサービスが増えています。



ここでは、遠方に住んでいても安心して実家を任せられる具体的な方法と、トラブルを防ぐためのポイントを解説します。
方法(1)鍵預かりやビデオ通話での見積もり
遠方依頼の第一歩は、現地に行かずに正確な見積もりを取ることです。
具体的には、実家の鍵を業者に郵送して立ち会いなしで査定してもらうか、スマホのビデオ通話を使って部屋の状況をリアルタイムで見せる方法があります。
つまり、ITツールや郵送を活用することで、移動の時間とコストをカットできる仕組みです。
ただし、面識のない業者に鍵を預けることにはリスクが伴います。
以下の表に、立ち会いなしで依頼する際に必ず確認すべき重要項目をまとめました。
| チェック項目 | その理由 | 確認方法 |
| 鍵の預かり証 | 紛失や複製トラブルを防ぐため | 書面での発行を求める |
| 身分証の提示 | どこの誰が家に入るか把握するため | 社員証などを画像で送ってもらう |
| キャンセル規定 | 見積もり後に断った場合のルール | 鍵の返送料や返却期限を確認する |
方法(2)写真や動画による作業完了報告
立ち会いなしの作業で最も心配なのは、「本当にきれいに片付いたのか」「不法投棄されていないか」という点です。
実際に、作業後の現場を見に行けないことをいいことに、見えない場所にゴミを押し込まれていたという悪質な事例も存在します。
これを防ぐために有効なのが、作業前後の写真や動画による完了報告です。
優良な業者であれば、部屋ごとのビフォーアフター写真をメールやLINEで送ってくれます。



もし不安が残る場合は、作業終了時にビデオ通話をつなぎ、押し入れの中までカメラで映してもらうよう依頼することをおすすめします。
方法(3)形見や貴重品の配送サービス活用
整理作業の中で見つかったアルバムや貴金属、故人の趣味の品などを、手元に残したいという要望は多いです。
簡単に言うと、これは遺品整理と運送便を組み合わせたもので、指定した形見を丁寧に梱包し、依頼者の自宅へ配送してくれるサービスです。
現場では「捨ててほしくない物がしっかり届いて安心した」という声も聞かれます。
一方で、形見は二度と手に入らない一点物です。
もし配送を依頼する場合は、万が一の破損に備えて補償制度があるか、また送料が見積もりに含まれているかを事前に確認することが重要です。
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まとめ


遺品整理の見積りで失敗しないためには、費用相場と内訳の仕組みを理解することが大切です。
一軒家の場合、4LDK以上で22万円〜70万円が目安となり、人件費・車両費・処分費で構成されています。
適正価格を見極めるには、3社以上から相見積もりを取り、内訳が明確な業者を選びましょう。
「一式」表記や極端な安値を提示する悪徳業者には注意が必要です。
遠方にお住まいの方は、ビデオ通話での査定や写真報告に対応した業者を活用すれば、立ち会いなしでも安心して依頼できます。



正しい知識を身につけて、後悔のない実家の片付けを実現してください。







