
仏壇を処分したいけれど、「そのまま捨てたらバチが当たるのでは」と不安を感じていませんか。
菩提寺との付き合いがなく、誰に相談すればいいかわからない方も多いはずです。
実は、閉眼供養という正しい手順を踏めば、ご先祖様に失礼なく、気持ちよく手放すことができます。



この記事では、魂抜きの意味から僧侶の手配方法、お布施の相場、さらに自治体や専門業者への依頼まで、費用と手間を比較しながらわかりやすく解説します。
親族にも堂々と説明できる「後悔しない処分方法」を一緒に見つけていきましょう。
仏壇処分の前に必要な閉眼供養の基礎知識


仏壇を処分しようとしたとき、多くの人が「そのまま捨てたらバチが当たるのではないか」という不安を感じます。



家具と同じように扱っていいのか、迷ってしまうのは当然のことです。
まずは、処分する前に必ず知っておきたい「閉眼供養(へいがんくよう)」という儀式について、その仕組みと進め方をわかりやすく解説します。
知識(1)閉眼供養(魂抜き)の意味と必要性
閉眼供養とは、一言で言えば「仏壇を祈りの対象から、単なる木の箱に戻す儀式」のことです。
一般的に「魂抜き(たましいぬき)」とも呼ばれます。
仏壇は購入した時に「魂」を入れる儀式を行っているため、処分する際にもその魂を抜くことで、宗教的な役割を終わらせる必要があります。
この儀式を行う主なメリットは以下の2点です。
- 精神的な安心感:「ご先祖様に失礼なことをした」という罪悪感を持たずに処分できます。
- 処分のスムーズさ:自治体の粗大ゴミ回収や専門業者の中には、この儀式が済んでいないと引き取ってくれないケースがあります。
法律で決まっているわけではありませんが、気持ちよく実家の整理を進めるためにも、行っておくことを強くおすすめします。
知識(2)菩提寺がない場合の僧侶手配方法
「お寺との付き合いが全くない」「実家のお寺が遠すぎて頼めない」という場合でも、心配はいりません。
現代では、菩提寺(ぼだいじ:先祖代々のお墓があり、付き合いのあるお寺)がなくても供養を依頼できる方法が整っています。
主な依頼先は以下の通りです。
- 僧侶派遣サービス:インターネットを通じて、定額料金でお坊さんを手配できます。ネットショッピングのような感覚で利用者が増えています。
- 処分業者の紹介:仏壇の引き取りを依頼する業者が、提携しているお寺を紹介してくれる場合があります。見積もりの際に確認してみましょう。
知識(3)閉眼供養のお布施相場と渡すマナー
お坊さんに来ていただく場合、「いくら包めばいいのか」が最大の悩みどころです。
一般的にお渡しするお金は、読経への謝礼である「お布施(おふせ)」と、交通費にあたる「お車代」に分かれます。
一般的な費用の目安は以下の通りです。
| 費用の種類 | 金額の目安 | 備考 |
| 閉眼供養のお布施 | 1万円〜5万円 | 読経に対する謝礼 |
| お車代 | 5千円〜1万円 | お坊さんの交通費として追加する |
これらはあくまで目安ですが、僧侶派遣サービスなどを利用する場合は料金があらかじめ決まっていることも多いため、予期せぬ出費を抑えられます。
渡す際は現金をそのまま手渡すのではなく、白い封筒に包み、表に「お布施」と書いて渡すのがマナーです。
知識(4)浄土真宗など宗派による供養の違い
宗派によっては、「魂を抜く」という考え方自体をしない場合があります。
特に日本で信徒数が多い「浄土真宗」では、仏壇に魂が宿るとは考えないため、「閉眼供養(魂抜き)」という言葉は使いません。
その代わりに、「遷仏法要(せんぶつほうよう)」という儀式を行います。これは「仏様を別の場所へお移しする」という意味合いや、「今まで見守ってくださったことへの感謝を伝える」区切りの儀式です。
呼び方は違っても、「お坊さんにお経をあげてもらい、礼を尽くして役割を終える」という点では同じです。
もし自分の家の宗派がわからない場合は、無理に判断せず、依頼するお寺や業者に正直に相談することをおすすめします。
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仏壇を処分する4つの方法と費用相場


仏壇の処分方法は主に4つあり、それぞれ費用や手間、そして「どれくらい丁寧に供養できるか」という安心感が異なります。
「選択肢が多くて選べない」という方のために、まずはそれぞれの特徴と費用の目安を表にまとめました。
| 依頼先 | 費用の目安 | 特徴 |
| (1) 菩提寺(お寺) | 3万円〜10万円 | 最も丁寧で安心感がある |
| (2) 仏壇店 | 2万円〜8万円 | 買い替え時は安くなる傾向 |
| (3) 専門業者 | 8,000円〜3万円 | 他の家財とまとめて処分可能 |
| (4) 自治体 | 500円〜3,000円 | 圧倒的に安く、公的で安心 |



ご自身の予算や、「どこまで丁寧に供養したいか」という気持ちと相談しながら、最適な方法を選んでいきましょう。
方法(1)菩提寺にお焚き上げを依頼する
「お寺にお願いするのが一番安心できる」という方は非常に多く、精神的な安らぎを得られるのが最大のメリットです。
お寺では読経の後、仏壇を焼却する「お焚き上げ(おたきあげ)」まで行ってくれるのが一般的です。
費用相場は供養とお焚き上げを合わせて3万円から10万円程度が目安ですが、お寺の格によって変動することもあります。
一方で、最近は環境保護の観点から、境内で物を燃やすことを禁止されているお寺も増えています。
「お寺なら必ず燃やしてくれる」と思い込まず、事前に対応してもらえるか確認することが大切です。
方法(2)仏壇店の引き取りサービスを利用する
新しい仏壇への買い替えを検討しているなら、仏壇店に依頼するのが最もスムーズです。
配送時に古い仏壇を引き取ってもらえるため、手間がかかりません。
費用については、買い替えとセットの場合は数千円から3万円程度(無料の場合もあり)と安く済みますが、処分だけを依頼すると2万円から8万円ほどと割高になる傾向があります。
また、店によっては「閉眼供養(魂抜き)が済んでいること」を条件とする場合もあるため、供養の手配が必要かどうかも含めて相談してみましょう。
方法(3)遺品整理・専門業者へ一括依頼する
実家の片付け(実家じまい)をしていると、仏壇だけでなくタンスや衣類もまとめて処分したい場面が出てきます。
そんな時は、遺品整理業者などの専門業者に一括で依頼すると便利です。
仏壇単体の処分費用は8,000円から3万円程度が目安ですが、供養もセットで頼む場合はさらに1万5,000円から3万円ほど追加されるのが一般的です。
ただし、中には不法投棄をする悪質な業者も存在するため、会社の許可証や見積もりの明細をしっかり確認し、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
方法(4)自治体の粗大ゴミ回収へ出す
「近所の人にゴミ捨て場にある仏壇を見られるのが辛い」と感じる方もいますが、費用面では500円から3,000円程度と圧倒的に安く済みます。
自治体が回収するため、不法投棄の心配がない点もメリットです。
ただし、大阪市や新宿区のように「事前の魂抜き(閉眼供養)」をルールとしている自治体も多くあります。
供養さえ済ませておけば、それは単なる「箱」となりますので、新聞紙で隠すなどの配慮をした上で、ルールに従って出すのがマナーと言えるでしょう。
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仏壇の中身(位牌・遺影・仏具)の処分方法





仏壇本体の処分が決まっても、中に祀られている位牌(いはい)や遺影写真、その他の仏具をどうすればいいか悩む方は非常に多いです。
これらは仏壇そのもの以上に故人の存在を感じさせるため、心理的なハードルが高くなりがちです。
品物によって「宗教的な重要度」や「適切な処分方法」が異なるため、まずは以下の表で整理しました。
| 品目 | 宗教的な意味合い | 推奨される処分方法 | 備考 |
| 位牌(いはい) | 極めて強い(魂の依り代) | お寺でお焚き上げ | 自分で処分するのは避けるべき |
| 遺影(写真) | 宗教的な意味はない | お焚き上げ または塩で清めて自治体回収 | データ化して残す方法もある |
| その他の仏具 | 道具としての性質が強い | 素材ごとに分別ゴミへ | 金属製はリサイクル可能 |
専門業者に依頼する場合、これらをまとめて引き取ってもらうことも可能ですが、参考価格として「段ボール1箱につき3,000円」程度の追加費用がかかるケースもあります。
ご自身の状況に合わせて、一つひとつ見ていきましょう。
処分(1)位牌は閉眼供養後にお焚き上げする
位牌には故人の戒名(かいみょう:仏弟子としての名前)が記されており、仏具の中でも最も大切な「魂の依り代(よりしろ:魂が宿る場所)」とされています。
そのため、単なるモノとしてゴミに出すことは避けるのが一般的です。
基本的には、「閉眼供養(魂抜き)」を行った後、お寺で焼却供養する「お焚き上げ(おたきあげ)」を依頼しましょう。
最近では、位牌をお寺に納めて「過去帳(かこちょう)」という帳簿に名前を移し、永代供養(えいたいくよう:お寺が代わりに供養し続けること)にする方法も増えています。
どうしても自分でお清めをして処分する方法もありますが、心理的な負担が大きいため、できる限り専門家に任せることをおすすめします。
処分(2)遺影は供養後に自治体処分でも良い
実は、遺影写真には宗教的な「魂入れ」の儀式はありません。しかし、「故人の顔が写った写真をゴミとして捨てるのは忍びない」と感じるのは自然な感情です。
心情的に抵抗がある場合は、位牌と一緒にお寺でお焚き上げをしてもらうのが最も安心できる方法です。
また、大きな額縁は処分し、写真をスキャンしてデータ化したり、小さなサイズにプリントし直してアルバムに残す「デジタル終活」という方法も注目されています。
もし自宅で処分する場合は、感謝を込めて塩を振り、半紙などに包んでから他のゴミとは分けて出すのが礼儀と言えます。
処分(3)仏具は素材ごとに分別してゴミに出す
おりん(鐘)や花立、香炉といった仏具は、宗教的な意味合いよりも、供養をするための「道具」としての性質が強いものです。
そのため、基本的には一般のゴミとして処分しても問題ありません。
処分する際は自治体のルールに従い、真鍮(しんちゅう)や銅などの金属製は「資源ゴミ」、陶器やガラスは「不燃ゴミ」といった具合に、素材ごとに細かく分別しましょう。
金属製の仏具は資源としての価値があるため、不用品回収業者が積極的に引き取ってくれることもあります。
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処分後も供養を続ける「手元供養」の形


「仏壇を処分したら、故人とのつながりが切れてしまうようで寂しい」と感じる方は多いものです。
しかし、大切なのは仏壇という「箱」の大きさではなく、故人を想う心です。



現代の生活スタイルに合わせ、小さなスペースで祈りの場を作る「手元供養(てもとくよう)」という考え方が広まっています。
ここでは、それぞれの状況に合わせた供養の形を比較してみましょう。
| 供養の形 | こんな方におすすめ | 特徴 |
| (1)ミニ仏壇への買い替え | 従来の仏壇を置く場所がない方 | タンスや棚の上に置けるコンパクトさ |
| (2)位牌だけ残す | 費用を抑えつつ供養を続けたい方 | 位牌があれば供養は成立する |
| (3)手元供養グッズ | 宗教色を薄めたい、インテリア重視の方 | デザイン性が高く、生活に溶け込む |
ご自身の生活環境や気持ちにフィットする方法を見つけることで、無理なく供養を続けていくことができます。
形(1)マンションに合うミニ仏壇への買い替え
マンションや洋室中心の暮らしでは、「仏壇を置くための和室(仏間)がない」という悩みがつきものです。
そこで選ばれているのが、タンスやサイドボードの上に置ける「ミニ仏壇」です。
ECサイトなどでは、リビングに置いても違和感のないモダンなデザインのものが人気を集めています。
「仏壇=大きくて重厚なもの」という固定観念にとらわれず、今の暮らしの中に自然に溶け込む小さな祈りの場を作ることで、毎日手を合わせやすくなるはずです。
形(2)位牌だけを手元に残して祀る方法
「仏壇本体は処分するけれど、位牌(いはい)だけは捨てられない」という葛藤を持つ方も少なくありません。
実は仏教の考え方でも、位牌は「魂が宿る依り代」であり、仏壇という「家」がなくても、位牌さえあれば供養は十分に成り立つとされています。
位牌だけを手元に残し、小さな敷物や台座を用意して写真を添えるだけでも、立派な祈りの場になります。
もし黒塗りの伝統的な位牌が部屋の雰囲気に合わない場合は、ガラス製のクリスタル位牌などに作り変える方法もありますので、柔軟に考えてみてください。
形(3)写真や遺骨を飾る手元供養グッズ活用
最近では、宗教的な雰囲気を抑えた「手元供養グッズ」の需要が急速に高まっています。
例えば、シンプルな台座だけの「ステージ型仏壇」や、分骨(ぶんこつ:遺骨の一部を分けること)したお骨を納める「ミニ骨壷」などです。
特に真鍮(しんちゅう)製やガラス製の美しいデザインの骨壷は、一見して仏具とは分からないため、リビングに置いても違和感がありません。
「いつまでも故人を身近に感じていたい」という想いを大切にしながら、インテリアとしても美しいアイテムを選ぶことができます。
また、思い出の詰まった古い仏壇の一部を加工して、フォトフレームなどにリメイクするサービスもあります。
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仏壇処分でトラブルを防ぐための注意点


仏壇の処分は、手順を一つ間違えると、親族間の人間関係にヒビが入ったり、悪質な業者との金銭トラブルに巻き込まれたりするリスクがあります。
安心して「仏壇じまい」を終えるために、絶対に押さえておくべき3つのポイントを解説します。
注意点(1)親族へ事前に相談し必ず同意を得る
「実家の仏壇を勝手に処分された」と親族が激怒し、絶縁状態になってしまったという事例は珍しくありません。
あなたにとっては「処分すべきもの」でも、他の親族にとっては「一族の象徴」や「心の拠り所」である可能性があります。
特に、本家筋や信仰心の厚い親戚がいる場合は注意が必要です。
「自分がお金を出すから関係ない」と思わず、事前に「実家じまいのために閉眼供養をする予定だ」と連絡を入れ、理解を求めておくことが、将来のトラブルを防ぐための最善策です。
注意点(2)引き出しや隠し扉の中身を再確認する
処分直前の仏壇から、故人が隠していた現金や土地の権利書、宝石などが見つかるケースは驚くほど多いものです。
昔の仏壇は「家の中の金庫」のような役割も果たしており、一見わかりにくい「隠し引き出し」や二重底などの細工が施されていることもあります。
もし業者に引き渡した後に見つかっても、手元に戻ってくる保証はありません。
位牌や過去帳(かこちょう)だけでなく、引き出しの奥や天井裏など、懐中電灯を使って隅々まで、できれば家族複数人でチェックすることをおすすめします。
注意点(3)高額請求を防ぐ業者の選び方と見積もり
「無料回収」を謳ってトラックに積み込んだ後に高額な料金を請求したり、回収した仏壇を不法投棄したりする悪質業者のトラブルが報告されています。
「無料」や「格安」という言葉の裏には、こうしたリスクが潜んでいる可能性があります。
安全な業者を見分けるために、以下のチェックリストを活用してください。
| チェック項目 | 確認すべきポイント |
| 許可証の有無 | 「一般廃棄物収集運搬業許可」や「古物商許可」などの公的許可を持っているか |
| 見積もりの明細 | 「一式」などの大雑把な記載ではなく、運搬費・処分費・供養料が明確に分かれているか |
| 実店舗の存在 | ホームページに住所や固定電話番号が正しく記載され、Googleマップ等で実在が確認できるか |
優良な業者は、必ず書面で明確な見積もりを出してくれます。
契約を急かされてもその場では即決せず、必ず3社程度から相見積もり(複数の業者から見積もりを取ること)を行い、冷静に比較検討しましょう。
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まとめ


仏壇を処分する際は、閉眼供養(魂抜き)を行うことで罪悪感なく手放せます。
菩提寺がなくても僧侶派遣サービスや専門業者経由で供養を依頼できるため、心配はいりません。
依頼先はお寺、仏壇店、遺品整理業者、自治体の4つがあり、費用は500円から10万円程度と幅があります。
位牌はお焚き上げ、仏具は素材ごとに分別するなど、品目に応じた対応も忘れずに。
親族への事前相談や、引き出しの中身確認、悪質業者を避けるための相見積もりも大切なポイントです。



正しい手順を踏めば、ご先祖様への礼を尽くしながら、後悔のない実家じまいを進められます。







