家財処分を業者に依頼するメリットと費用相場｜失敗しない選び方

遺品整理や施設入居で発生する大量の荷物を自力で片付けるのは、想像以上の重労働です。

しかし業者選びを誤れば、高額請求などのトラブルに巻き込まれるリスクも。

この記事では、自治体回収から専門業者まで4つの方法を比較し、費用相場と優良業者の見分け方を解説します。

家財処分を進める4つの方法と比較

実家の片付けや遺品整理において、大量の家財をどのように手放すかは最大の悩みどころです。

方法は大きく分けて4つあり、それぞれ「費用」「手間」「スピード」が異なります。

体力に自信があるのか、それとも時間を優先したいのか、ご自身の状況に合わせて最適な手段を選ぶことが、後悔のない実家じまいの第一歩です。

自治体サービスを利用した自力処分

費用をできるだけ安く抑えたい場合、最も有効なのが自治体の粗大ごみ回収です。

例えば、電子レンジなら900円、ラジカセなら400円程度で処分できる自治体もあり、専門業者に頼むよりも圧倒的に安上がりです。

しかし、指定された場所まで自分で運び出す必要があり、タンスなどの大型家具が多い場合は大変な重労働になります。

また、テレビや冷蔵庫などは「家電リサイクル法」という法律の対象となるため、自治体では回収してもらえません。

体力があり、少しずつ時間をかけて片付けられる方に適した方法です。

リサイクル・買取業者への売却

「まだ使える家具や家電を捨てるのはもったいない」と感じる場合は、買取業者への売却を検討しましょう。

これらは「古物商許可」という、中古品を売買するための公的な許可を持つ業者です。

価値のある骨董品や比較的新しい家電があれば、現金化して処分費用の一部に充てることができます。

ただし、全ての物が売れるわけではありません。

まずは査定を依頼し、値段がつかなかったものだけを処分する方法をとると、トータルの出費を賢く抑えることができます。

引越し業者による引き取りサービス

親御さんが介護施設へ入居する場合や、別の家へ引っ越すタイミングであれば、引越し業者に依頼するのがスムーズです。

引越しの荷造りと同時に、不要な家具の引き取りも「ひとつの窓口」で済ませられるため、あちこちに連絡する手間が省けます。

実際に、精神的な負担が減ったという声も少なくありません。

一方で、不用品回収専門の業者に比べると、料金が割高になる傾向があります。

見積もりの際は、引越し費用と回収費用がそれぞれいくらになるのか、内訳をしっかり確認することが大切です。

ワンストップの専門業者に依頼

「実家が遠方で通えない」「大量の荷物を一気に片付けたい」という場合は、分別から運び出しまで全て任せられる不用品回収業者が最適です。

依頼する際は、家庭のごみを扱うための「一般廃棄物収集運搬業許可」を持っているか必ず確認してください。

費用はトラックの大きさで決まることが一般的ですが、業者によって幅があります。

以下の相場を目安にして、高額請求などのトラブルを防ぎましょう。

トラックの大きさ	部屋の広さ（目安）	料金相場
軽トラック	1R 〜 1K	10,000円 〜 30,000円
2tトラック	2DK 〜 3DK	35,000円 〜 80,000円
4tトラック	一軒家など	80,000円 〜 150,000円

このように、家の広さや荷物の量によって金額は大きく変わります。

特に「軽トラック」のプランは一見安く見えますが、載せられる量が限られているため、追加料金が発生しないか事前の確認が不可欠です。

家財処分を業者に依頼するメリット

しかし、専門の業者に依頼することで、体力的な負担や精神的なストレスを大幅に減らすことができます。

ここでは、業者を利用することで得られる具体的なメリットについて、労力、サービス内容、費用、時間の観点から詳しく解説していきます。

分別や搬出の労力を最小限に抑える

自分で片付けを行う場合、「燃えるゴミ」や「不燃ゴミ」の分別から始めなければならず、週末ごとの作業で何ヶ月も費やしてしまうことがあります。

特に大型家具の運び出しは、体力に自信がない方にとっては危険な重労働です。

しかし、業者に依頼すれば、部屋にある状態のままで、スタッフが分別から搬出まで全て代行してくれます。

重いタンスやピアノがあっても、自分たちで動かす必要は一切ありません。

「一般廃棄物収集運搬業許可」を持つ正規の業者であれば、法令に従って適切に処理してくれるため、安心して任せることができます。

遺品整理や清掃まで一括で依頼可能

家財の片付けは、単なるゴミ捨てとは違い、亡くなった親族の「遺品整理」を兼ねていることが多くあります。

専門業者は、ただ物を捨てるのではなく、権利書や通帳、大切な思い出の品を丁寧に見つけ出しながら作業を進めてくれます。

また、すべての荷物を運び出した後に、簡単な清掃（掃き掃除など）を行ってくれるプランも一般的です。

不動産の売却や賃貸物件の退去を控えている場合、片付けと掃除を一括で済ませられるのは大きなメリットです。

不用品買取で費用を相殺できる

「まだ新しい家電や使える家具を捨てるのはもったいない」と感じる方も多いはずです。

そのような場合、「古物商許可」という中古品を売買するための資格を持つ業者に依頼すれば、不用品の回収と同時に買取査定を行ってくれます。

買取金額がつけば、その分を処分費用から差し引くことができ、支払総額を抑えることが可能です。

実際に、骨董品や製造年式の新しい家電がお金に変わるケースもあります。

全ての物が売れるわけではありませんが、見積もりの際に買取の可否を相談してみることをお勧めします。

実家じまいの完了時期を早められる

実家を売却する場合、家の中を空っぽにしなければ手続きが進みません。

自分たちだけで片付けると時間がかかり、その間も固定資産税や維持費がかかり続けてしまいます。

専門業者であれば、4tトラックなどの大型車両を使い、一軒家丸ごとの家財でも最短1日で片付けることが可能です。

以下に、自治体での自力処分と専門業者に依頼した場合の違いをまとめました。

比較項目	自治体回収（自力）	専門業者への依頼
スピード	低（数ヶ月かかることも）	最速（最短1日で完了）
費用	最低限（非常に安価）	高額（人件費や車両費含む）
作業負担	大（分別・搬出は自分）	小（すべてお任せ）

空き家の維持には、税金や保険料などで年間数十万円の費用がかかるのが一般的です。

また、相続した家を売却する場合、相続開始から3年以内に売却することで税金の優遇（譲渡所得の特別控除）を受けられる制度もあります。

多少の費用がかかっても、業者に依頼してスピーディーに片付けることは、結果的に経済的なメリットにつながる場合があります。

家財処分を業者に依頼するデメリット

専門業者への依頼は、体力的な負担を劇的に減らせる一方で、費用や業者選びの面でデメリットも存在します。

「楽だから」という理由だけで安易に決めると、予算を大幅にオーバーしたり、悪質なトラブルに巻き込まれたりするリスクがあります。

ここでは、依頼する前に必ず知っておくべき3つの注意点を、具体的な数字とデータを用いて解説します。

自治体回収よりも費用が割高になる

専門業者に依頼する場合、人件費や車両費が含まれるため、自治体の回収サービスに比べて費用は確実に高くなります。

自治体の粗大ごみ回収は税金で一部が賄われているため非常に安価ですが、民間の業者は全てのコストを利用者が負担する仕組みだからです。

以下の表で、自治体と専門業者の費用相場を比較してみましょう。

依頼先	対象・プラン	費用相場（目安）
自治体回収	電子レンジ 1台	900円程度
自治体回収	ラジカセ 1台	400円程度
専門業者	軽トラック（1R〜1K分）	10,000円 〜 30,000円
専門業者	2tトラック（2DK〜3DK分）	35,000円 〜 80,000円

このように、単品で見ると自治体の方が圧倒的に安く済みます。

大量の家財を一気に片付けたい場合は、割高な費用を払ってでも業者に依頼する「時間と労力の節約」としての価値があるかを検討する必要があります。

悪徳業者によるトラブルのリスクがある

不用品回収業界には、残念ながら悪質な業者が存在しており、高額請求などのトラブルが後を絶ちません。

最も注意すべきなのは、家庭ごみを扱うために必須の資格である「一般廃棄物収集運搬業許可」を持っていない業者です。

この許可がない業者がごみを回収することは法律で禁止されており、違反すると「5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金」という非常に重い罰則があります。

街中を巡回している「無料回収」を謳うトラックなどは、無許可である可能性が高く、荷物を積んだ後に法外な料金を請求されるケースがあるため絶対に利用してはいけません。

事前のリサーチに時間と手間がかかる

優良な業者を見極めるためには、相応の準備時間がかかります。

「どこに頼んでも同じ」と思って一社だけで決めてしまうと、相場より高い金額を請求される可能性があるからです。

行政が生活保護受給者の片付け支援を行う際も、費用の適正化を図るために「3社以上の見積もり比較」を義務付けています。

また、見積もりの際には基本料金だけでなく、以下のような追加費用が含まれているかを確認する手間も必要です。

このように、信頼できる業者を選ぶためには、複数の会社に問い合わせて条件を比較するという地道な作業が不可欠です。

急いでいる時こそ、リサーチを怠らないことが自分を守ることにつながります。

適正価格で家財処分を終えるための費用知識

「家一軒分の荷物を処分すると、いくらかかるのか見当もつかない」と不安になる方は非常に多いです。

実際に、適正な相場を知らないまま依頼してしまい、後から高額な請求に驚くケースも少なくありません。

費用は荷物の量やトラックの大きさで大きく変動します。

一軒家丸ごと処分費用の相場を確認

不用品回収の料金は、間取りや荷物の量に応じた「トラックパック」というプランで決まるのが一般的です。

つまり、どのサイズのトラックにどれだけ積むかで、支払う金額が決まる仕組みです。

公式なデータによると、全国的な平均相場は以下のようになっています。

トラックサイズ	間取りの目安	料金相場（全国平均）
軽トラック	1R 〜 1K	10,000円 〜 30,000円
1.5tトラック	1DK 〜 2K	30,000円 〜 45,000円
2tトラック	2DK 〜 3DK	35,000円 〜 80,000円
4tトラック	一軒家など	80,000円 〜 150,000円

これは、業者によってサービス内容やスタッフの人数が異なるためです。

もし極端に安い業者を見つけたら、安易に飛びつかず、理由を確認することが重要です。

見積もり費用の内訳と追加料金の罠

現場では「パック料金だから安心していたのに、当日に追加費用を請求された」というトラブルが後を絶ちません。

これは、階段を使った運び出し作業や、法律でリサイクルが義務付けられている家電（テレビや冷蔵庫など）の処分料が、基本プランに含まれていないケースがあるためです。

簡単に言うと、トラックに積むだけの料金と、部屋から運び出すための作業費は別物だということです。

ただし、見積もり書に「すべて含む」と明記されていれば安心できます。

高価買取が期待できる品目の具体例

「古い家具なんて売れるわけがない」と諦めている方が多いですが、実際には思わぬ物に値が付いて驚いたという経験談はよく聞かれます。

公式情報によれば、製造年式が新しい家電製品や、骨董品としての価値がある古道具は、高価買取の対象になる可能性があります。

つまり、これらの品物を買い取ってもらうことで、廃棄にかかる費用を相殺できるチャンスがあるということです。

一方で、全ての業者が目利きできるわけではありません。

もし少しでも費用を安く抑えたいなら、古物商許可を持ち、買取査定も同時に行ってくれる業者を選ぶのが賢い選択です。

費用を抑えるための相見積もりの取り方

費用を適正範囲に収めるための鉄則は、必ず複数の業者を比較することです。

これは「相見積もり」と呼ばれる手法で、3社以上から見積もりを取ることで、その地域の適正な相場が見えてきます。

行政のガイドラインでも、生活保護受給者の片付け支援においては、費用の公正性を保つために3社以上の見積もりが義務付けられています。

一方で、ただ安いだけの業者を選ぶのは危険です。

もし価格差があまりに大きい場合は、安さの裏に不法投棄などのリスクがないか、許認可の有無を含めて慎重に見極める必要があります。

悪徳業者を回避する優良業者の見分け方

「不用品回収業者とのトラブルが怖くて、なかなか依頼に踏み切れない」という不安の声は、現場でも頻繁に耳にします。

実際に、高額請求や不法投棄といった被害に遭うリスクはゼロではありません。

しかし、信頼できる優良業者には、必ず明確な「共通点」が存在します。

ここでは、悪徳業者を見抜き、安心して任せられる依頼先を選ぶための具体的なチェックポイントを解説します。

必須の許可・資格の有無をチェック

家庭から出るごみを回収・処分するためには、市区町村からの「一般廃棄物収集運搬業許可」が法的に不可欠です。

つまり、この許可を持たない業者が家庭ごみを運ぶことは、法律違反と定義されます。

データによれば、無許可で営業を行った場合の罰則は「5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金」と非常に重く設定されています。

一方で、よく見かける「古物商許可」は中古品を売買するための資格であり、ごみの処分はできません。

もし業者が「回収もできます」と言っても、ホームページなどで必ず「一般廃棄物」の許可番号を確認してください。

料金体系や事例が明確に公開されているか

「見積もり無料と言われたのに、当日になって追加料金を請求された」というトラブルは後を絶ちません。

これは、階段作業費やスタッフ追加料金などの内訳が曖昧なまま契約してしまうことが原因です。

トラックに積むだけの基本料金と、作業にかかるオプション費用は別物だと考えてください。

以下に、トラブルになりやすい追加費用の目安をまとめました。

追加費用項目	費用目安	発生条件の例
階段作業費	500円 〜 1,000円 / 階	エレベーターがない2階以上からの搬出
スタッフ追加	3,000円 〜 5,000円 / 名	大型家具の搬出で人手が必要な場合
養生費	1,000円 〜 3,000円	搬出時に壁や床を保護する作業

実際に、悪質な業者は荷物を積み込んだ後に高額な料金を突きつける手口を使います。

利用者による口コミや実績を確認

業者の信頼性を客観的に判断するには、複数の業者を比較することが最も有効です。

行政の知恵として、生活保護受給者の片付け支援を行う際も、費用の適正化を図るために「3社以上の見積もり比較」が義務付けられています。

つまり、複数の業者から見積もりを取ることで、相場から大きくかけ離れた怪しい業者をあぶり出せるということです。

一方で、極端に安すぎる業者は不法投棄などのリスクが高いため、価格だけでなく実績や対応の丁寧さも併せて検討することをお勧めします。

損害賠償保険の加入状況を確認する

大型家具の搬出時には、壁や床を傷つけてしまうリスクが常に伴います。

実際にプロの現場でも、事故を防ぐために1,000円〜3,000円程度の費用をかけて「養生（保護作業）」を行うほど、慎重な作業が求められます。

つまり、万が一の破損事故に対する備えがあるかどうかが、優良業者を見分ける一つの指標になります。

もし契約をするなら、作業中の事故に対して損害賠償保険に加入しているか、また補償内容はどうなっているかを事前に確認しておくことが、賢明な自衛策となります。

まとめ

実家の家財を処分する方法は、自治体回収、買取業者、引越し業者、専門業者の4つがあり、それぞれ費用・手間・スピードが異なります。

業者に依頼すれば分別から搬出まで任せられ、買取で費用を相殺できる場合もあります。

ただし悪徳業者によるトラブルを避けるため、「一般廃棄物収集運搬業許可」の有無を必ず確認してください。

3社以上の相見積もりを取れば適正価格が見え、高額請求のリスクも防げます。